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僕の取材

 『中央公論』で連載中の「鎮魂の旅」は、3カ月に一回というやや変則的な掲載になっています。本当なら、せめて隔月くらいで出来ればいいのかもしれませんが、じっくりと造り込むために現況のような形となっております。僕はもとより筆は遅い方ではないのですが(この仕事を15年ほどやってきて、〆切に遅れたことが一度もないのは、小生の小さな自負の一つです)、だからこそ、ややもすると「拙速」に成りかねません。自分の長所だと思っていた要素が短所にも成り得るというのは、どんな業界でも同じでしょう。
 また、小生は凝り性の気性も多分にあり、細部が気になってくると際限がなくなり、昼夜を問わず徹底的に調べます。例えば「昭和20年◎月▲日の埼玉県熊谷市の天気」とか「戦前の横浜〜神戸間の船便の名前とその客席の構造」とか「戦時中の群馬県高崎市にあった銭湯」などなど。それらの答えを見つけるため、当時の新聞やら社内資料やら地図などを幾つも照合していきます。そんなことを始め出すと、一つの疑問を解くのに丸一日かかってしまったりします。結局、判明しないことも屢々です。
 結果、漸く分かった「天気」や「船の名前」や「銭湯のタイル絵」の記述など、読者はさらりと読み進めてしまうだけだと思います。しかし、それでもノンフィクションの神は細部に宿ると思うので(歴史ものは特に)、僅かばかりでも記述に厚みを持たせるために、これらの作業は必要なことなのです。逆に、これらの過程を経ていないノンフィクションを読むと、小生はその粗雑さが耐えられず、楽しむことができません。
 というわけで、現在は「昭和19年12月の荒川の水位」を調べております。

資料蒐集

 金環日食とやらは無視して、永田町の国会図書館へ。

 次の「鎮魂の旅」の基礎資料を蒐集するため、戦時中の新聞などのマイクロフィルムをいろいろ当たってみたのだが、収穫ナシのボウズ。今度のテーマは、従来の回以上に「戦時下の秘話中の秘話」であり、加えて、戦争ノンフィクションとはいえ自分がこれまでにあまり書いたことのない要素が多分に含まれて来るので、いくらか難儀している。

 「新しいことに挑戦するのは愉しいことだ」という感覚は一応かろうじて残っているようですが、古来「作家の新境地」といったものには駄作が少なくないような気もするので、だから何だということも特にありませんが、〆切に向かって少しずつ進めるのみであります。
 
 夜は池袋にて一献。

群馬取材②

新潟県との県境に近い群馬の山あいにいます。
こちらは地酒が豊富なので、山菜を肴にイロイロ飲み比べて研究しております。
温泉もあるので腰の治療を口実に、年金族の方々に混じって昼間から湯に浸かっております。おかげで、すっかり癒えました。
因みに、原稿も書いているので、担当編集者の皆様は心配ご無用。
さて、とても気に入った当地ですが、腰痛も治り、東京のネオンもそろそろ恋しくなってきたので、明日には山を降りようと思います。

群馬取材

群馬県の山あいにある小さな町に来ています。

新緑が映え、空気も清々しく、あまりに気持ちが良いので、暫く逗留することに決めました。元バックパッカーの悪い癖であります。

気が向いたら戻ります。

『中央公論』連載

 本日(10日)発売の『中央公論』(6月号)に連載「早坂隆の鎮魂の旅」掲載。

 第6回となる今回は「知られざる特攻兵器『震洋』が描いた航跡 ─とある元搭乗員の追懐」という題名で書きました。

 「震洋」というのは、ベニヤ製のモーターボートの先端に炸薬を付けた特攻兵器です。今回、この兵器の元搭乗員の方からお話を聞くことができ、これまで謎の部分が多かった震洋の実態について、僅かなりとも浮き彫りにできたかと思っております。

 是非、ご一覧いただけると嬉しいです。

『中央公論』(6月号)目次


再校

 世間は黄金週間なる大型連休らしいですが、我が生業に関係あらず。7月刊行予定の文庫の再校ゲラと、ひたすら睨めっこする毎日であります。しかも、持病の腰痛が激しく悪化して椅子にも座っていられないため、ベッドに横たわったたま赤ペンを走らせているという面目ない状況。「病牀六尺」を気取ってみても、子規兄との共通点は僅かに野球を愛でることのみくらいで、他はまさに月とスッポン。最近、周囲の悪友たちから「銀座の盗塁王(二代目)」という有り難くない称号を獲得した小生ですが、それも全くの名折れであります。
 哀れなスッポンはけふも蒲団の甲羅の中で身勝手な煩悶に埋没しております。
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